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伏見稲荷大社の「おもかる石」の歴史と魅力

「お稲荷さん」の総本宮、伏見稲荷大社を知っている方は多いと思います。その伏見稲荷大社にある「おもかる石」をご存知ですか?その石が軽いか重いかはあなた次第。そんな「おもかる石」は一体どういうものなんでしょうか?

また、それは一体伏見稲荷大社のどこにあるんでしょうか?「伏見稲荷大社のおもかる石なんてもう知ってるから、伏見稲荷大社以外にもあったりしないかな」という方も必見です。「おもかる石」の魅力に迫りながら追っていきたいと思います。

おもかる石とは?

おもかる石とは、何かを試す時に用いる試し石の一種とされています。そんな「おもかる石」として有名なものが伏見稲荷大社にあります。では、おもかる石について詳しく見ていきましょう!

伏見稲荷大社のおもかる石の場所

おもかる石は伏見稲荷大社の境内にあります。伏見稲荷大社で有名な千本鳥居をご存知でしょうか?伏見稲荷大社の奥宮から奥社奉拝所までを結ぶ大量の鳥居が並ぶ道のこと、またはその鳥居を指します。そんな千本鳥居を抜けると、抜けた先にあるのは命婦谷の奥社奉拝所です。

そのまたさらに右奥に石灯篭が二つ並んでいるのが見えるはずなので、まずはそこまでいきましょう。行くと二つの石灯篭のそれぞれの頭にある空輪が目の前にあります。それが、おもかる石です。

行く時の参考としていいページを見つけたのでご紹介します。まずは公式ホームページのマップ。絵地図になっているので地図が苦手な方でも見やすいはず。

伏見稲荷大社 大社マップ

それでもわかりにくい!という方にはこちらをご紹介します。この方が言った順に写真が掲載されているので、景色を見ながら確かめることができます。
あなたの知らない伏見稲荷山

軽いと感じると願い事が叶う

まず、おもかる石というのは願い事が叶うか叶わないかを試す石です。どうやって試すことができるのかというと、持つことによってできます。そのおもかる石を持ち上げてみて、重かったか軽かったかどうかで試すことができるのです。

予想より重ければ願いが叶わないけれど予想より軽かったら願いは叶うとされています。業の悪い人は持ち上げられないという話を聞いた方もいるかもしれませんが、それは俗説のようです。ただかなり重いという話も聞きますし、軽かったという話も聞きます。とても不思議なことだと思いませんか?

おもかる石の歴史・逸話

実は伏見稲荷大社のおもかる石の歴史や逸話というのはあまりわかっていません。しかし、起源は石占いだとされています。石占いというのは、神社や寺院に置かれている特定の石を持ち上げて、その時に重く感じるか軽く感じるかどうかで運や吉凶、願い事の成就がどうなるかについて占うものです。

そうきくと、伏見稲荷大社のおもかる石は石占いの一種だと考えられますよね。

伏見稲荷大社以外にもある「おもかる石」

伏見稲荷大社のおもかる石、面白いと思いませんか?でも、伏見稲荷大社だけではなく他の神社やお寺にも似たようなものがあるのです。おもかる石巡り、なんてしてみても面白いかもしれません。では、そんな石について紹介したいと思います。

京都今宮神社/阿呆賢(あほかし)さん

バス停「今宮神社前」下車してからすぐの、簡単に行ける場所にある今宮神社。この今宮神社は焼失したりという歴史があってもまた再建され栄えるという人々に好かれている神社であり、疫病が流行ったり災厄に悩まされたことが原因でそれを鎮めるための御霊会が昔から営まれてきた由緒ある神社であるようです。

ここにはおもかる石とよく似た話があります。そう、願い事が叶うかどうか占えるという話です。まず、この「阿呆賢さん」という石を手のひらで三度叩いて持ち上げます。その次に石を置きます。

この後に願い事を心の中で唱えるのを忘れずに唱えながら、今度は三度手のひらで撫でて再度持ち上げてみてください。その時石が最初より軽く感じれば願い事は叶うと言われています。おもかる石より少し複雑かもしれません。

この石の話はこれだけではありません。もう一つ、違う話があります。あるご利益があるそうです。病弱な人が心を込めて石に健康になるように、また病気平癒を祈ってこの石を撫でて悪いところをさすれば健康回復が早まるそうです。また、こんな話もあります。あほと言ったら重くなり、賢いと言ったら軽くなるという話です。だから「阿呆賢さん」なのかもしれませんね。

この石がどこにあるかというと、境内に正面から入って左側にあります。綺麗な座布団に鎮座している石なのですぐに見つかると思います。

奈良飛鳥坐神社/力石

この神社の名前、どう読むかわかりますか?「奈良飛鳥にいます神社」と読むそうです。いつからこの神社が存在していたのか、どうして建てられたのかは実は定かではありません。しかし古典によると、その昔八百万の神を統率した神が飛鳥坐神社にやってきて静まったというお話があるようです。

その神様は今、国や民の重要な守護神として鎮座していると考えられており、原始信仰のような神石崇拝が現在もなお残っています。そのため、境内のあちこちに「陰陽石」が立ち並んでいるのです。本殿と拝殿は平成13年に再建されたものらしく見た目は比較的新しいですが、こういうところにおもかる石との繋がりを感じてしまいますね。

また近くには大伴婦人の墓や蘇我入鹿の首塚、奈良県立万葉文化館、飛鳥寺、法満寺など、見て回るところが多くあります。奈良のメジャーなところなら行ったことがあるからもう少しマイナーなところに行きたいという方にはもちろん、初めての方でも楽しめそうなスポットです。

ここの力石は、他のものと比べると少し異色で、占えるというよりは幸運がつかめるという話のようです。階段を上がるとその正面に赤い金属のかごに入った石があり、それが奈良飛鳥坐神社の力石です。男性は左手で、女性は右手で持ち上げると幸運をつかめるという話があるようです。結構重かったという方もいますが、重さは関係なく持ち上げれば幸運をつかめるそうなのでご心配なく。

大阪住吉大社/おもかる石

最寄駅が住吉大社駅、住吉東駅、住吉鳥居前駅と3つもあり、行くのに便利なこの大阪住吉神社。そんな大阪住吉神社の境内にある大歳神社におもかる石が3つもあり、そのどれか一つだけを選んで持ち上げて占うそうです。これはまた前のおもかる石とは違う手順で占うようです。

まず二礼二拍手二拝してからこのおもかる石を持ち上げ重さを覚えます。その後おもかる石に両手を当てて祈ってからまた持ち上げるそうです。ここで満足して退出せず、退出する前には二拍手一拝をしなければならないようです。再び持ち上げた時に重く感じればまだまだ努力が必要ですが、軽く感じれば叶うとされています。

大阪四天王寺/おもかる地蔵

四天王寺というのは聖徳太子のある誓いを果たすために建立されたと言われています。聖徳太子が戦いに勝つために四天王像を自ら掘ったという話はご存知でしょうか?その時に勝てば寺を建立すると誓ったそうなのです。なんだかそれだけでご利益がありそうな気がしてしまうかもしれませんが、少し変わったおもかる地蔵について見てみましょう。「おもかる地蔵?石ではなくて地蔵なの?」と思った方もいるかもしれません。これはちょっと変わったおもかる石なんです。

まずこのお地蔵様の前で願い事を思い浮かべながら合掌します。その後他のものと全然違うことをする必要があります。それは、ご真言を唱えることです。そのご真言は「おんかかか・びさんまえい・そわか」だそうです。その後は他のおもかる石とほぼ同じで、このお地蔵様を木の台ごと両手で持ち上げます。

これもやはり、軽ければ願いは叶うと言われており、重ければ願いが叶う時期ではない、願いから遠いということになっています。さて、このおもかる地蔵ですが大阪四天王寺内の六時堂という場所に祀られているそうです。

新潟弥彦神社/火の玉石

こちらの神社には参道を渡った先の礼所の奥に、願いを占う石として「火の玉石」があります。名前は違いますが通称は「重軽の石」だそうでおもかる石とよく似ています。これも願い事を頭に思い浮かべながら石を持ち上げ、軽く感じれば願い事は叶うと言われています。重く感じれば願い事の成就は困難なものになるようです。

火の玉石で他と違うのはしっかりと伝説が残っていることです。その昔、弘前の城主が江戸から帰る時に船が転覆しそうになったことから話は始まります。その城主は危機を感じてあることをします。弥彦大神の力が強いことを聞いていたので、その転覆しそうになっている船の中から遠くの弥彦山に向かって鳥居奉納を誓って助けを願ったそうです。

するとすぐに海は静かになり、船は転覆を免れ無事帰国できたそうです。そのため毎年お参りには行っていたようですが、鳥居奉納はされないままに時は過ぎて行ってしまいました。それに怒ったのか、しばらくすると場内を二つの火の玉が大きな唸り声をあげながらぐるぐる飛び回る不思議な現象が多く続くようになりました。城主はよくよく考えると自らが弥彦神社に誓ったことをまだ果たしていなかったことに気づかされます。それから早速工事をし、大鳥居を奉納したと言われています。

今現在野日子神社にある火の玉石は、その時同時に収められたとされているそうです。弥彦村のホームページに掲載されていたので紹介します。この神社には様々な伝説が残っているようなので、是非そちらも見てみてくださいね。

弥彦村 彌彦神社にまつわる伝説

福井劔神社/おもかる石

北陸新幹線が開通した今、東京の人でも行きやすい福井県。そんな福井県にもおもかる石があります。それが福井劔神社。この福井劔神社ははるか昔に座ヶ岳の峰に素盞嗚大神をまつり、劔大神として信仰してきたことから始まります。神功皇后摂政の頃に第十四代仲哀天皇の第二皇子忍熊王はこの地方を任され、この神様のおかげでその地方を治めることができたと感謝をしました。

その感謝から今現在福井劔神社のある地に社を建てて「劔大明神」として祀ったそうです。ここは奈良時代から「祈願の霊場」と呼ばれ尊いとされ、朝廷含め多くの人達から熱い信仰を受けてきたそうです。この神社、国宝の梵鐘というものを所蔵しているのですがそれは光仁天皇の御奉納だといわれています。中性以降は武将の信仰も厚かったそうです。

願い事を思い浮かべながら石を持ち上げた時に軽く持ち上がれば願いが叶うと言われ、重く持ち上がれば願いは叶いづらいとされています。特にそれ以外は細かい操作はありません。武将の信仰が厚かったと先ほど説明しましたが、この神社は実は織田信長の祖先が神官をしていて、織田信長もこの神社を大切に思っていたそうです。何か勝負事の時にはここを訪れて願いながらおもかる石で願いを占ってみてはいかがでしょうか。

まとめ

いかがだったでしょうか。おもかる石と聞いたことがあってもそれがなんなのか知らなかった方もいると思いますし、聞いたこともなかったという人もいたと思います。また、おもかる石の存在は知っていても実はおもかる石のようなものがたくさんあることを知らなかった方もいたのではないでしょうか。おもかる石に興味を持って神社に行ってみたら他の何かもあるかもしれません。おもかる石のようなものを所有している神社はやはり他の神社とは一味違っています。

また、おもかる石は力持ちの人の方が有利じゃないか、と言われる方もいるかもしれませんが、同じ人でも持ち上がることもあれば持ち上がらないこともあり、軽くなったり重くなったりしているように感じられるそうです。そんなことってありえるの?と思った方は是非、特に思わなかった方も是非、この不思議さを体感してみてください。

願いが叶うトシルことが出来ればそれに越したことはないですが、そうでなくても石の重さが変わったように感じられると面白くて少し嬉しくなってしまうかもしれません。関西の方なら奈良から大阪、京都、福井、その次に新潟へと旅をしながら、また巻頭の方なら新潟から福井、京都、大阪と進むように旅をして「おもかる石巡り」をしてみても面白いかもしれませんね。