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感動に包まれる!京都伏見稲荷大社の圧倒的な魅力と歴史

京都伏見稲荷大社は奈良時代に稲荷大神が稲荷山に鎮座して以来、人々の信仰を集めています。そして朱塗りの建物や千本鳥居をはじめ数え切れないほどの鳥居は、日本人だけでなく外国人も魅了しています。そんな人気の観光スポット、京都伏見稲荷大社の魅力と歴史を紹介します。

きつねが稲荷大社にいる理由や千本鳥居の由来、建物や鳥居が朱色の理由など、よく考えてみたら分からないことや見どころ、参拝時の注意点などを紹介しますので、伏見稲荷大社を訪れる時の参考にして下さい。

伏見稲荷大社

社格等:・旧称 稲荷神社・式内社(名神大社)・二十二社(上七社)のひとつ・旧社格 官幣大社・単立神社

全国に約3万社ある稲荷神社の総本社です。初詣の人出は毎年約270万人で全国4位・関西1位(2017年)、外国人に人気の日本観光スポットランキング1位(2017年)。国内外で人気の神社です。

伏見稲荷大社の神々

稲荷山と御祭神

稲荷山は東山三十六峰最南端にある標高233mの山で、「一ノ峰」「二ノ峰」「三ノ峰」が連なっていますが、これはどれも古墳時代4世紀後半の首長が埋葬されたと思われる大型円墳です。

稲荷大神は稲荷山に鎮座する神(神体山)で、広大な神徳を五柱の神で表わしています。

宇迦之御魂大神(うかのみたまのおおかみ):主祭神。穀物神。
佐田彦大神(さたひこのおおかみ):猿田彦神(さるたひこ)の別名。宇迦之御魂大神の配神。導きの神。交通安全・道中安全の神徳がある。
大宮能売大神(おおみやのめのおおかみ):宇迦之御魂大神の配神。宮殿の平安を護る女神。商売繁盛の神。天宇受賣命(あめのうずめ)の別名で技芸上達の神
田中大神(たなかのおおかみ):由緒不明。田の神?
四大神(しのおおかみ):由緒不明。四季を表わす神?

元々稲荷大神は五穀豊穣の神でしたが、のちに商売繁昌・産業興隆・家内安全・交通安全・学業成就・安産・厄除け・金運・芸能上達・所願成就の神としても信仰されるようになりました。稲荷大神の神階は、827(天長4)年に従五位下が下賜されて以降階位を進め、942(天慶5)年に正一位が授けられました。

神蹟・お塚

稲荷山にはお社がいくつもありましたが、応仁の乱の戦火で焼失しその後再建されませんでした。明治時代に7か所の神蹟地を確定し親塚を建設しました。

七神蹟地:

●一ノ峰(上ノ社神蹟)…末広大神
●二ノ峰(中ノ社神蹟)…青木大神
●三ノ峰(下ノ社神蹟)…白菊大神
●荒神峰(田中社神蹟)…権太夫大神
●間ノ峰(荷田社神蹟)…伊勢大神
●御膳谷遙拝所…昔三ノ峰に神供をした場所といわれている。
●釼石(長者社神蹟)…加茂玉依姫(かもたまよりひめ) 社殿後ろに釼石(御神体)があります。
※親塚の神名の由緒は不明。

「お塚」とは稲荷大神を信仰する人が別の神名を付け、石に刻んで稲荷山に奉納したもので、「お塚信仰」と呼ばれ七神蹟地が確定した頃から増え始め、現在1万基以上といわれています。稲荷山の各所に奉納されていますが、熊鷹社や三徳社、眼力社などに多く見られます。

稲荷神ときつね

「お稲荷さん」=「きつね」と思っている方も多いと思いますが、本来きつねは神様ではなく神使(神の使い)または眷属になります。但しこのきつねは普段目にする動物のきつねではなく、目に見えない透明な「白狐」です。

宇迦之御魂大神は別名を御饌津神(みけつのかみ)といい、そしてきつねの古名は「けつ」というところから「みつけのかみ」=「三狐神・御狐神」となることから、きつねが使いに選ばれたといわれています。また、きつねは穀物を狙うネズミを食べることや、体色や尻尾の形が稲穂に似ていることから穀物神である稲荷神の神使として選ばれたとも。そして平安時代には朝廷に出入りするため「命婦」の格が与えられています。

さて、お稲荷さんと言えば「油揚げ」できつねの好物といわれていますよね。しかしきつねは肉食動物なので油揚げは食べません。きつねの好物は「ネズミの油揚げ」とされていますが、仏教の影響で殺生は良くないとして「(豆腐の)油揚げ」になったといわれています。

見どころ

参拝にかかる時間

・境内巡回ルート…本殿・千本鳥居・奥社奉拝所(奥の院)周辺のみ参拝:約30分
・稲荷山登山ルート…一周約4㎞:さっと見て回って約2時間 ゆっくり回ると3時間程度かかりそうです。

登山ルート注意点:

・思ったより山道がきついですので、運動靴など歩きやすい靴がおすすめです。また服装も動きやすいものの方がよさそうです。
・山頂はふもとより寒く感じることがありますので、時期によっては上着などを用意しておいた方がよさそうです。
・山頂へ向かうルートは左回りが案内されていますが、あまり道順を気にしないのであれば右回りの方が楽なのだそうです。
・登山は思ったより時間が掛かることがありますので、電車の時間などあまり余裕のない時は注意して下さい。(修学旅行の子供が軽い気持ちで登山して、バスに遅れることがよくあり「修学旅行殺し」との異名があるそうです。)

楼門

過去の楼門については応仁の乱時の戦火により文献等が焼失したため不明ですが、現在の楼門は安土桃山時代の1589(天正17)年に豊臣秀吉の寄進により再建されました。2014(平成26)年重要文化財指定。

秀吉が母大政所の病気平癒を願い「平癒したら一万石を加増する」という願文(命乞いの願文)を納め、成就後大規模な寄進が行われました。楼門は全国の神社の中では最大級の大きさ(横幅約10m・高さ約15m)です。楼門の左右には弓矢を携えた武官「随身像」が安置されています。向かって左が「阿形」の「左大臣」、右が「吽形」の「右大臣」で、この二人が入口で大社を護っています。ちなみに左大臣が年長者なのは位が高いからだそうです。

本殿

創建年ははっきりしませんが鎌倉時代(1185~1333)と推定されていますが、応仁の乱の最中の応仁2(1468)年に焼失、室町時代後期の1499(明応8)年に再建されました。1909(明治42)年重要文化財指定。

伏見稲荷大社の本殿の前室や階段を覆う「向拝」が大きく、横から見ると大屋根と向拝が「へ」の字に見えます。このような屋根は「打越流造(うちこしながれつくり)」「五間社流造(ごけんしゃながれつくり)」と呼ばれ、またこの様式は稲荷神社特有のものなので「稲荷造(いなりつくり)」とも呼ばれます。

この本殿は他にも、寺院建築に多い「緑色の連子窓」「蟇又(かえるまた)」があったり、屋根に神社建築にあるはずの「千木」「鰹木」がなかったりと、伏見稲荷大社特有の神仏習合の歴史を見ることができます。「懸魚の黄覆輪」「垂木鼻の飾り金具」などは見事で、安土桃山時代へ向かう過渡期に建てられた豪快にして優雅な建築物です。

本殿には五社が奉祀されており、向かって左から、

・最北座…田中大神:田中社(下社摂社)
・北座…佐田彦大神:中社
・中央座…宇迦之御魂大神:下社
・南座…大宮能売大神:上社
・最南座…四大神:四大神(中社摂社)

となっています。(一宇相殿…ひとつの社殿に合祀する形)

千本鳥居

「伏見稲荷大社」といえは真っ先に朱色の鳥居がズラッと並ぶ光景が思い浮かぶほど、大社を代表するスポットで、本殿から奥社奉拝所に向かう途中にあります。「稲荷塗」といわれる朱色は、神威・神徳を示し悪霊や邪気を払うといわれ、また昔の朱の原料が水銀(丹)で防腐剤として鳥居に塗られたといわれています。

千本鳥居は神が鎮座する幽界と現世を分ける「門」であり、約70mの間に現在は約800基建っています。鳥居の奉納が始まったのは江戸時代末期の文化・文政年間(1804~1830)からで、「鳥居を通る・通った」=「願いが通る・通った」という語呂合わせで、願を掛けて成就した時に奉納するようになったといわれています。

現在も鳥居を奉納することができます。但し申し込んだらすぐに建つという訳ではなく、今建っている鳥居が朽ちて空きができたら建てるようになっています(鳥居の寿命は4~5年)。ちなみに現在4~5年待ちだとか。他の場所にも奉納することができますので興味のある方は問い合わせてみて下さい。

おもかる石

本殿から東、千本鳥居を抜けたところの「命婦谷」と呼ばれる場所に「奥社奉拝所(通称奥の院)」があり、その右後側にある一対の石灯篭の空輪(頭)の石のことを指しています。灯篭に願い事をして空輪を持ち上げるのですが、自分が思っているよりも空輪が軽ければ願いが叶い、重ければ叶わないといわれる試し石です。

きつね絵馬

稲荷大社らしいきつねの絵馬が奥社奉拝所で奉納できます。白地の顔に耳と目が書かれているもので、奉納する人が思い思いの顔を描いて奉納しており、その顔が個性的だと話題になっています。

すずめ・うずらの丸焼き

「稲の天敵であるすずめは獲って食べてしまえ」というのが起源といわれています。また伏見稲荷大社近くの森で、すずめとうずらが大量発生したことから食べられるようになったという説もあります。

伏見稲荷大社参道のお店で、すずめは1串(羽)500円、頭から丸ごと串に刺して販売されています。11月中旬~2月中旬頃の期間のみ販売で、また数に限りがあるので売り切れの場合もあります。うずらは1羽700~850円位、すずめより大きいので硬い骨を抜いたものや一口大に切って提供するお店もあります。

夜の伏見稲荷大社

伏見稲荷大社は24時間いつでも参拝できる神社です。暗くなるとライトが点灯し楼門や千本鳥居、奥社奉拝所などを照らし、昼間とは全く違った雰囲気になります。参道にも明かりがありますが暗いところもあるのでライトは必携です。「四ツ辻」や「荒神峯(田中社神蹟)」からは京都市内の夜景が楽しめます。

夜の伏見稲荷大社も見どころのひとつですが、夜の山中を歩いていると特に何もなくても「怖い」と感じることがありますので、参拝は人通りのある20時頃までにするのがよさそうです。また神域であり強力なパワースポットでもあるため霊感の強い人は「何か」を感じて動けなくなることもありますので、気になる方は行かない方が無難でしょう。

「暗いのは嫌だけど、夜の伏見稲荷大社を見てみたい。」という方には「本宮祭(もとみやさい)」がおすすめです。石灯篭(宵宮祭のみ)や数千の献納提灯に明かりが灯る「万灯神事」が行われ、お山全体が灯篭や提灯で照らされるので訪れやすいと思います。明かりは21時頃から順次消灯します。

開催日時:

・宵宮祭:本宮祭の前日(2017年は7/22) 18:00~22:00頃
・本宮祭:7月土用入後初の日曜日または祝日(2017年は7/23) 9:00~22:00頃
※祭り期間中は駐車場が使えませんのでご注意ください。

参集殿

境内入口正面、参拝者駐車場の前にあります。日中は食堂として営業していますが、宿泊することができます。格安で宿泊できますが、洗面用具やシャンプー、タオルなど宿泊に必要なものは用意しましょう。大社横の施設ですので夜間・早朝の参拝に大変便利ですが、門限(22:00)には注意しましょう。

TEL:075-641-0237(8:30~16:00)
一泊(1人):素泊まり~4000円 ※2か月前から受付 予約は電話受付のみ
定休日:なし
収容人数:200名
食堂:8:00~15:30(ラストオーダー15:00)※8:00~10:00は朝食・喫茶のみ
大浴場:16:00~21:00
門限:22:00

歴史

縁起

奈良時代の711(和同4)年、豪族秦氏の長、伊呂巨[具](いろぐ)が餅を的にして矢を射ると、矢が当たった餅が白い鳥になって飛んでいき、峰に降り立つとそこに稲がたわわに実りました。それを見た伊呂具はそこに社を建て「伊奈利(いなり)」を祀ったのが起源といわれています。(『山城国風土記』)

また和同4年頃は不作が続いており、勅使が名山大川に祈祷したところ稲荷山に大神を祀ればよいとのお告げを受けて祀ると五穀豊穣となったことが起源ともいわれています。どちらの話も同じ頃の話ですので、関連があるのかもしれませんね。社の名前は「稲生り(いねなり)」→「イナリ」→「伊奈利」→「稲荷」と変化したようです。

平安時代

平安時代の827(天長4)年、淳和天皇が病にかかり占ったところ、当時建設中の東寺の材木を稲荷山から切り出したことによる神の祟りと分かりました。そこで稲荷神に「従五位下」の神階を下賜してお詫びしました。このことが人々の間に「霊験あらたかな神社」との評判が広がり、やがて「巽(東南)の福神」として信仰を集めました。

また、この時東寺建設の指揮を任されていた真言宗開祖の空海が稲荷神の化身と会い、東寺の守護神となったという逸話もあり、このことも稲荷信仰を広める力となったといわれています。

室町時代~安土桃山時代

1467~77(応仁元~文明9)年に起こった応仁・文明の乱に巻き込まれ、1468(応仁2)年、稲荷山の細川氏側の陣に山名氏側の軍勢が攻め込み、細川氏の軍を敗走させました。その際に神輿五社分・御本地木像・御剱など一部を除き、建物や文献などが焼失していまいました。

乱後しばらく稲荷祭を行えない時期もありましたが、伏見稲荷本願所を神宮寺(のちの真言宗東寺の末寺愛染寺)に置き、1494(明応3)年から円阿弥によって社殿再建の諸国勧進が行われました。そして1589(天正17)年、豊臣秀吉の寄進により再建は一気に進みました。

伏見稲荷大社Data

住所:京都市伏見区深草藪之内町68
TEL:075-641-7331
拝観料:無料(ご祈祷拝受は有料)
拝観時間:自由
お守り授与所:7:00~18:00 ※1/1~3は0:00~24:00(終日)
御祈祷:8:30~16:30(16:00受付終了)

アクセス:

・JR奈良線「稲荷駅」下車 徒歩すぐ(JR京都駅から約5分) ・京阪電車「伏見稲荷駅」下車 徒歩約5分
・京都市営バス南5号系統「稲荷大社前」下車 東へ徒歩約7分
・名神高速道路「京都南IC」から約20分 ・阪神高速道路「上鳥羽出口」から約10分
駐車場:170台 無料(正月や祭りなどの期間は駐車不可の場合があります)

願いを「通して」みませんか

いかがでしたか。伏見稲荷大社は約26万坪(約87万㎡)という広大な境内に多くの建物が建ち、奉納された多くの鳥居やお塚があります。そこには「お稲荷さん」を約1300年間篤く信仰して来た人々の思いが溢れています。多くの人々の願いを叶え続けている霊験あらたかな稲荷大神にお願い事をしてみませんか。